ある時ふくじいはふと思い立った。
ふくじい:はて。麩はどうやって作られておるのかの?
真相を探るべく、麸久寿(ふくじゅ)を訪れたのであった。
■最初の工程
麸久寿では、工場の長嶺さんがふくじいの到着を待っていた。
ふくじい:はいさい!今日はよろしくたのむぞ!
ながみね:はい。早速、麩の工場をご案内しましょう。
まず案内されたのは、巨大な機械がそびえ立つ、工場の一室。
ふくじい:おお!これはなんじゃ?
ながみね:麩は、小麦粉(強力粉)が原料です。まず、小麦粉を大量の水で洗い、でんぷんを取り除いてグルテンを抽出します。このグルテンから、麩を作っていくんです。この機械は、小麦粉を洗う機械なんですよ。
ふくじい:おお、なるほど。麩は小麦粉のグルテンからできておったのか~。
ながみね:1日に1トンの小麦粉を洗いますが、できるグルテンは500kgなんですよ。
ふくじい:え?麩の原料となるグルテンは、たったの半分しかできないのかね?
ながみね:そうなんです。でも残った半分のでんぷんも、別の機械で粉末にして、線香の原料や、家畜のえさとして使われているんですよ。
原料となる小麦粉は小麦の皮に近い部分が使われている赤瓦を使用
工場の中には、小麦粉を洗う巨大な機械がそびえ立つ
機械の中では小麦粉が洗われている真っ最中。左奥に見えるのがグルテン
抽出したグルテンはこんな感じ。不思議な色ですね。
ふくじい:そうなのか。麩のもとになるグルテンは半分しかできないのか・・・。
ながみね:これが沖縄の麩の特徴なんですよ。沖縄の麩は、本土の麩と比べると、グルテンの量が倍以上あると言われています。小麦粉をしっかりと洗い、でんぷんを除くことによって、上質なグルテンが作られ、もちもちした食感のある、水に溶けにくい麩ができるんです。
ふくじい:しっかりとでんぷんを取りのぞかなければ、いい麩はできんのじゃのう。
ながみね:そうですね。ふくじゅでは、古くから伝わる、沖縄の食文化を守ることが大切だと思っています。でんぷんをしっかりとるやり方は、昔から伝わる沖縄の麩の製法なんです。昔は食べ物に苦労していたと思うんですけど、その時代からずっと沖縄の人が守り続けてきたことです。こんなにぜいたくな食べ物はないと思っていますよ。
ふくじい:そうかそうか。ふくじゅの使命なのか。感心したぞ。ではこの奇妙な色をしたグルテンから、いったいどうやって麩ができるのかのう?
しなやかにのびるグルテン